
6月10日は「時の記念日」です。
日本で初めて時計によって人々に時を知らせたことを記念して設けられました。
時の記念日前後は保育園や幼稚園などで時計の工作をすることが多いようですね。
時の記念日の始まりは近江神宮の漏刻
「時の記念日」が6月10日なったのは、天智天皇が"漏刻"と呼ばれる水時計を使い始められた日に由来します。
元々は671年4月15日ですが、陽暦に置き換えて6月10日になったのだとか。
こちらは近江神宮(滋賀県大津市)にある「水時計」です。
日本書紀には次の歌が記されています。
「天皇(すめらぎ)の 近江の宮に 造りおきし 時のまにまに 御代も絶えせず」
それにちなんで近江神宮では毎年、記念行事が催されます。
時の記念日ならずとも時間や時計は大切にしたいものですね。
モノが溢れる時代ですから目新しさについつい手が出てしまいますが、落ち着いて考えたいところです。
長野県【水運儀像台】
長野県の諏訪に「諏訪湖 時の科学館・儀像堂」という施設があります。
メイン展示は中国で作られた「水運儀像台:すいうんぎしょうだい」を復元したものです。
これは大きなからくり水時計ですが、天文台も併せ持った大掛かりな機械時計です。
今の時計と同じく「脱進機構」があるのは驚きですが、中国では1092年に作られたそうです。
間近で見るとその仕組みや大きさには圧倒されますよ。
世界の時刻を知る
今の世界は地球を24分割して経度15度ずつで区切らていることはご存知かと思います。
ワールドタイマーの時計をお持ちの方であればベゼルに刻まれた都市名を目にされているかも知れません。
地球には便宜上日付変更線がありますが、飛行機で太平洋を飛んでいたある紳士が「日付変更線はどこで見られるのか?」と真顔で聞いたという逸話がありました。
笑い話ですがスマホばかり見ているよりはいいかも知れませんね。
時刻を正確に示す時計があれば、経度も正確に判断できます。
これは航海をする上で現在位置を知るためにとても大切なことでした。(1時間で経度15度)
大航海時代の技術では正確な時計を作ることは簡単ではなく、18世紀の英国では懸賞金をつけて高精度の時計製作を競わせたくらいです。
この辺りはデーヴァ・ソベルの「経度への挑戦」を読まれると楽しいと思います。
かのジョン・ハリソンのお話です。
時の記念日にはそんな「世界昔話」にも思いをはせながらゆっくりと。
推理系がお好きな方でしたらジェフリー・ディーヴァーの「ウォッチ・メイカー」などはいかがでしょうか。どんでん返しの展開に時間を忘れてしまうかも・・・
少々長い話ですが読みごたえはありますよ。
梅雨時の時計は湿気で汚れやすいものです。革ベルトの消臭スプレーやメタルベルトの汚れ落としなど、当店にはお手入れ用品もございますのでお気軽にご来店下さいませ。