子午線は、最初はフランスを通るはずだった!?

ジュール・ベルヌの「八十日間世界一周」は時差を利用した傑作です。

ご存じの方も多いでしょう。地球を24分割すると経度15度につき1時間ずつ時差ができますが、その基準は英国グリニッジを通る子午線です。

物語の主人公達は東回りに世界一周をしたことで丸一日分得をしたことになるのですが、この東回りがミソなのですね。

次々に起きるハプニングで約束の期限に間に合わないと焦りますが、どんでん返しが結末に待っていました。微笑ましいニュースと共に・・

子午線はパリを通る!?

1875年に「本初子午線はフランスのパリを通る」と一旦決まったのですが、イギリスが猛反発したことで再検討され、1884年に「グリニッジを通る」と改訂されたのです。

交換条件としてフランスは度量衡でメートル法を世界基準とすることを承認させました。

しかしイギリスがそれを守らずヤード・ポンド法を使っていることに立腹、グリニッジを通る子午線を本初子午線とは呼ばず、「パリ天文台の二度西」と強気に語ってはばからない人も多いという話です。

大人気ないとも思いますが、何ごとにも世界基準や標準はありますから国の威信をかけて熱くなるのも判ります。

でもジェントルマンは約束を守らないとダメですよね・・

ちなみに日本の子午線は東経135度で、明石市を通っています。

ロンドンのグリニッジとは9時間の時差になります。

広い国土では複数の標準時が存在する

日本のように国土が狭く南北に長い国は時差感覚が薄いのですが、広大な国土を持つ国は複数の標準時があり、国内に時差が発生します。

標準時はアメリカが6つでロシアは11ですが中国は1つなので国内時差はありません。

地方では「地方時」を使うようですが・・

時差は基本的に1時間単位ですが、15分や30分単位の国もあります。

これらは各国で決められるためバラバラになりますので、海外へ出かける時は郷に入れば郷に従うのがよろしいかと思います。

個人的には「日が昇れば朝、暮れたら夜」の大雑把な時間割が好きですね。

江戸時代の「不定時法」などはもっと見直したいと思います。

最近の時計は時差修正もできる!

最近の時計は時差修正もやってくれるものが増えまして、便利なようで余計なお世話に感じる方もおられます。

環境が変われば自分で修正することで距離を実感し、それがまた異国へ来たという感慨なのだと言われます。

色々なモノや情報がたやすく手に入る時代ですが、自ら考えることが少なくなってはいないでしょうか?

考えなくてもあれこれできてしまうから達成感や感動も少ないのでしょうね。

感動したい時は映画やドラマの中で・・ではお粗末さまかなとも思います。

デュアルタイム・ウォッチ

デュアルタイム・ウォッチ」といいまして一つのダイアルに二つの時計が並んでいるものがあります。

ホームタイム(母国時刻)とローカルタイム(現地時刻)を同時に表示することで時差を視覚で認識できます。

デュアルタイムウォッチをお使いの方に、電池交換の後で時刻はどうなさいますか?

と訊ねますと、大抵はどちらも同じで結構ですとおっしゃいます。

一つは自分が行ってみたい国にしておくと楽しいと思います。

一つのダイアルで二つの世界を楽しめるのですからね・・

IT技術の進歩で世界は狭くなったと言われます。

最近はIOTなどとも・・瞬時に様々な情報が入手できることは便利でしょうし、地球の裏側の人達ともたやすくコミニュケーションできる時代です。

ベルヌの物語のような長閑な旅は望むべくもありませんが、ぜんまいを巻いて時刻を合せるところから旅は始めたいものです。

ベルヌの物語の主人公達も同じです。

探しながら迷いながらの膝栗毛。

さぁ、出かけましょう。

もちろん時計をお忘れなく・・

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